採用ノウハウ

〈外国人採用の鉄則〉日本語力は日本に来るまでが勝負

外国人材がごく簡単な日本語のやり取りをできるようになるまでに通常3~5カ月、簡単な言葉でゆっくり話した内容を半分前後理解できるようになるまでに8~12カ月の学習期間が必要です。来日前の日本語教育の期間が短く、質も低い場合、外国人材は来日時点でほとんど日本語会話ができません。そのような人材は何年たっても会話力が伸びないケースが多く、外国人材の日本語力は来日前の教育・学習で大勢が決まってしまいます。

◆このページの内容

ほとんど話せない特定技能外国人や実習生

私は取材や調査のために、数百人の外国人材にインタビューや対話をしてきましたが、日本語会話のできる外国人材と最低限の日本語も理解できない人材との格差は非常に大きいです。これは特定技能でも同じで、技能実習から特定技能に持ち上がる場合、今の制度では日本語要件がないので、日本語をほとんど話せない特定技能外国人が大量に生まれました。

技能実習を経ずに、あるいは技能実習とは違う産業分野で特定技能になる場合はJFT-Basicなどに合格しなければなりませんが、その試験に合格するだけでは、実は会話はほとんどできません。

日本語をほとんど話せないとは、例えば「あなたのお父さんは何歳ですか?」と聞いても何を聞かれたか分からず、「あなたは何曜日に働きますか?」と聞いても反応できないといったレベルです。仕事現場で何かを取ってくるように指示をしても違うものを取ってくるといった感じです。

受け入れ事業者によっては「外国人材は日本語会話ができない」とあきらめることもあれば、監理団体や登録支援機関から「これが標準です」とその場しのぎの説明を受ける場合もあります。しかし、あきらめる必要はありません。

話せる人材はいるところにはいる

特定技能外国人の中にはもちろん、技能実習生の中にも簡単な会話ができる人材はたくさんいます。そういう人材は働きながらさらに日本語の勉強をしますし、仕事や生活の中で触れる日本語を新たな知識として身に付け、日本語力を高めていきます。技能実習の3年の間に基本的な会話は十分にできるようになる人がたくさんいます。

私は入国したばかりの技能実習生たちが受ける入国後講習で授業の一部を担当しています。毎月2回に分けて計百数十人に授業をする中で、私が授業でゆっくり話す日本語を半分ぐらい理解できる人材が1~3割います。これらの人材は技能実習の3年間の中でもっと日本語力をつける可能性が高い人たちです。

技能実習を修了して特定技能に持ち上がった人材や元留学生の中には比較的日本語力が高い人材が特に多いです。

また、海外から初めて日本に来る人材でも、それなりの期間をかけて毎日熱心に勉強してきた人材は入国時点でも最低限の日本語を理解し、その後、力を伸ばしていきます。こうした人材を採用するには、やはり良い監理団体や登録支援機関を通じて良い送出機関に依頼するしかありません。

日本語力は日本に来るまでが大きな山

面接から来日まで数カ月

外国人材の日本語力は、日本に来るまでにどれぐらい力をつけられるかが大きな分かれ目です。

採用面接に合格してから日本に来るまで、技能実習生なら最短6カ月前後、特定技能外国人なら4カ月前後です。採用面接までにある程度日本を勉強している場合はまだしも、面接が終わってから日本語学習を始める場合、4~6カ月で最低限の日本語力を身に付けるのはなかなか難しいです

望ましくは10カ月以上の来日前学習

私が来日前の多数の外国人材と対話してきた経験では、ごく簡単な内容の短い日本語会話ができるようになるまでに通常3~5カ月かかります。そして、簡単な言葉を選んでゆっくり明りょうに話しかけた場合に半分前後の内容を理解できる力になるには計8~12カ月の学習期間が必要です。

最低限の日本語力を身に付けてから来てもらいたいのであれば、監理団体を通じて送出機関と交渉し、できれば10カ月前後の日本語学習をしてから日本に来てもらうことが本当は最善です。その場合、外国人材は給料をもらえる時期が一般より遅くなるので、本人の合意・納得が必要です。このため、数万円のサポート費を出して外国人材の学習を支える場合もあります。

日本語をほとんど身に付けずに来日した場合

半年前後の準備期間で来日し、教育内容も悪く本人もあまり努力しなかった場合、来日時点でも日本語をほとんど理解できません。

そのような状態で日本語に囲まれて仕事や生活をするようになっても、日本語力は伸びません。基礎力がほとんどない状態で聞く日本語はただの音に過ぎず、脳内で言葉として意味を成さないからです。そこから相当な努力を積まないと、何年経っても簡単な会話すらできるようになりません(幼児の場合は別です)。

しかし、来日までにほとんど努力をしなかった人材が、勉強だけやればよかった来日前の環境とは違って毎日仕事をして心身が疲れる状況で、夜間・休日に日本語学習にしっかり取り組むかというと、そのような事例はなかなか見あたりません。

最低限の日本語力をつけて来日する人材の価値

一方、ある程度日本語の力を身に付けて来日した人材は、来日後の仕事や生活の中で聞く日本語の一部が新しい日本語として身に付き、日本語力が高まっていきます。

また、来日までにある程度の日本語力を身に付けたということは、基礎能力の高さや努力する姿勢があることの表れでもあり、単なる語学力以外の価値も証明していることになります。

監理団体等を通じて送出機関を選ぶ

来日前の教育内容・期間と本人の努力

このように、外国人材が日本語を身に付けるかどうかは、来日前に大勢が決まってしまいます。そして、来日時の日本語力は、来日前の送出機関等の教育内容や教育期間、本人の学習姿勢によって決まりますので、やはり送出機関選びが非常に大切ということになります。

監理団体や登録支援機関に依頼

良い送出機関を選ぶには、さしあたり監理団体や登録支援機関に依頼するしかありません。

そのような団体・機関も決して多くはありませんが、「日本語教育力の高い送出機関とつながっている監理団体(登録支援機関)を探しています。良い送出機関を紹介してもらえますか?」などといくつもの団体・機関に問い合わせて返事を比べ、良さそうな機関・団体にさらに説明を求めるとよいかも知れません。

※良い送出機関を探すのにどうしてもお困りの場合は、ご相談ください(ただし、外国人雇用に関して取材させて頂く場合があります)。連絡先:contact@teichaku-kikou.com

人材に会って確認

団体・機関から送出機関に関する説明を受けたら、できれば、その送出機関から送り出されて日本で働いている人材に会わせてもらうと、実際の力量を確かめることができます。

団体・機関から受け入れ会社に頼んでもらい、団体・機関が外国人材支援の仕事でその会社に行く場合に同行させてもらうという方法があります。それが難しい場合は、その人材が会話する様子を団体・機関にスマホで録画してもらうのもよいでしょう。

来日後の日本語学習サポート

企業が実習生に提供している日本語学習会の様子(筆者撮影)

ある程度努力をした人材も努力が足りなかった人材も、来日後に学習サポートをすることで、伸び方の違いはあれど、日本語力を高めていくことができます。

また、日本語学習支援をすると、技能実習の場合、支援内容によっては優良な実習実施機関(=受け入れ人数枠が増える)としての認定に有利になります。

外国人材への日本語学習支援の例には次のようなものがあります。

  • 学習教材を提供する
  • 1週間に1回先生を呼んでグループ授業を提供する
  • 日本語試験を受けに行くときの移動を手伝う(車で送迎する)
  • 日本語試験に合格したら、数千円の手当を毎月の給料に加算する

まとめ

このページのまとめ

・簡単な短い日本語で質問をしても内容を理解できない外国人材はたくさんいます。しかし、特定技能であれ技能実習であれ、基礎的な会話が十分にできる外国人材もいるところにはいます。

・来日前の外国人材がごく簡単な内容の短い日本語会話ができるようになるまでに通常3~5カ月、簡単な言葉を選んでゆっくり明りょうに話しかけた場合に半分前後の内容を理解できるようになるためには8~12カ月の学習期間が必要です。

・まともな教育を受けず本人も努力せず来日した場合、日本語はほとんど理解できず、その後も最低限の日本語力を身に付けるケースは多くはありません。

・逆に、ある程度日本語の力を身に付けて来日した人材は、来日後の仕事や生活の中で日本語力をさらに伸ばす傾向があります。また、来日時の日本語力の高さは「努力する力」があることの証明でもあります。

・来日時の日本語力は、送出機関等の教育内容や教育期間、本人の努力によって決まります。送出機関選びが非常に大切です。

・来日後の日本語学習サポートの方法として▽学習教材提供▽先生を呼んでグループ授業を提供▽日本語試験を受けるときの移動サポート▽日本語試験に合格したら、数千円の手当を毎月の給料に加算する――などの方法があります。

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