
海外から人材を受け入れる際、採用面接をすませて入国予定日を決めたら、あとは待つだけ。このパターンがほとんどですが、入国までノーチェックの状態は内定者や教師の緊張感を低下させ、結果として低い日本語力で入国させる結果になることがよくあります。内定後もオンラインで定期面談を行い、学習成果の向上につなげるとともに交流の場としても活用する方法をお伝えします。
◆このページの内容
海外から受け入れる際の入国までの流れ

技能実習の入国までの流れ
技能実習の場合、採用面接で内定を出してから入国するまでの流れは次のようになります。まず受け入れ会社で担当してもらう実習内容(作業内容)に基づいて技能実習計画を作成します。これは受け入れ事業者の説明や資料に基づいて監理団体が作成します。実習を通してどのような技能を身に付けてもらうかを示す計画書で、外国人技能実習機構(OTIT)に提出して審査してもらいます。
技能実習計画が認定されれば、次は入管に対して在留資格認定証明書(COE)の交付を申請します。
COEが交付されたら、それを使って外国人材の送出国にある日本の在外公館(大使館か総領事館)にビザの申請をします。
ビザが出たらようやく入国となりますが、面接から入国までの期間は平均で半年間になります。日本語力を十分につけてから来日してほしい場合は、送出機関や人材本人との話し合いでさらに数カ月延ばす場合もあります。
特定技能の入国までの流れ
特定技能の場合、採用面接から入国まで手続きだけなら4カ月前後です。もともと日本で技能実習を経験した人や、すでに必要な日本語試験に合格している人などは、この期間で入国してもらうことが多いです。
一方、初めて来日する人材で、採用面接までの学習期間が短かかった場合は、特定技能の試験(日本語試験と特定技能試験)に合格するためにもっと長く学習してから日本に行く必要があります。
ノーチェックで数カ月任せきりはリスク大
こうして採用面接で内定者が決まり、あとは入国まで数カ月間待つだけという段階になってもひと安心してはいけません。「あとは送出機関や監理団体に任せておけば、教育や準備を十分にやってくれるだろう」と考えるとリスクがあります。
送出機関は確かに所定の授業は行いますが、採用面接で合格したあとノーチェックで数カ月間過ごすと、教師も生徒(人材)も気が緩み、教育・学習の成果が下がってしまうことがよくあるのです。安心して期待して数カ月待って、入国してきた人材といざ対面すると、ごく基本的な日本語会話もできない。そういう事態があちらこちらで起こっています。
監理団体や送出機関によっては、「日本に入国したての外国人はみんなこんなもの」とその場しのぎの説明をすることもあります。しかし、入国時点で最低限の日本語を話せる人材はいるところにはいますし、そういう人材を育てられる送出機関もあります。
しかし、そのような送出機関が送り出す人材にもレベルの違いがあります。できるだけ高いレベルで送り出してもらうには、採用面接から入国までの間に日本語学習にまじめに取り組み、努力する姿勢を身につけてもらうことが大切です。そのためにも、面接から入国までノーチェックの状態は避け、定期面談を行なうと効果的です。
定期面談で日本語学習の到達度をチェック

定期面談は監理団体等を通じて手配・調整してもらい、1、2カ月に1度ぐらいの頻度でオンラインで行なうとよいでしょう。送出機関の日本語教師に立ち会ってもらい、通訳を担当してもらいます。そして、前回の面談から今回までの間にどのような学習を行いどのような成果があったかを説明してもらいます。送出機関から学習状況報告書を定期的に出してもらい、その内容をもとに説明を受けるのも一つのやり方です。
また、日本語学習開始から3カ月以上経った生徒には、通訳を外して簡単な日本語で話しかけ、聞き取る力を試す時間も設けます。簡単な言葉でゆっくり明りょうに話しかけて、相手が理解できるかどうかをチェックします。返ってくる言葉は簡単でもかまいません。こちらの話すことを理解できるかどうかが最も大事です。聞き取れる状態になれば、やがて話せるようにもなるからです。
日本語学習以外でも大きな効果

教育・学習に適度な緊張感をもたらす
定期面談によって本人の日本語力が前回より向上したのかどうかをチェックします。まったく改善していない場合は、教師に次回面談までにどういう教育・学習をして改善を目指すかを説明してもらいます。次回までにどういう状態になってほしいか、こちらのリクエストも伝えます。
このようなやり取りを定期的に入れると、内定者本人も次回までにもう少しがんばろうと奮起し、適度な緊張感を持って学習に取り組むことができます。また、教師もより工夫して教育に取り組みます。
このようにすると、採用面接から入国まで数カ月間、ノーチェックで相手にまかせきりにする場合と比べて教育・学習効果は格段に高まります。
交流によって安心を与え距離も縮める
定期面談は、単に日本語学習の到達度を点検し、さらなる努力を促すだけではなく、受け入れ事業者と内定者の心の距離を縮めたり、内定者の疑問や不安を取り除いたりするための交流の場としても機能します。
例えば、日本語学習の苦労を聞いてねぎらったり、日本に来てからの暮らしや仕事の内容などさまざまな質問に答えたりして互いの距離を縮めていきます。
求人票や採用面接でこちらの全容を伝えたつもりでも、相手には案外それが伝わっていないもので、私が定期面談に立ち会って内定者からの質問を聞くと、「寮の寝室には何人で寝るのか」とか「寮から会社にはどうやって行くのか、何分ぐらいで行けるのか」「寮から最寄りのスーパーまではどれぐらいの距離か」など、生活や通勤に関する質問がたくさん出ます。もちろん、仕事や給料に関する質問も出ます。
こうしてさまざまなやり取りを重ねる中で、内定者の不安・疑問を解消することができますし、相互に理解や信頼を深めていくことできます。
また、こちらから写真などを見せながら会社のことや地域の様子を説明し、日本に来ることを楽しみに思ってもらえるように仕向ける機会としても活用できます。訪日を楽しみにしながら日本語を勉強する方が身につくというものです。
送出機関からも一目置かれる
あと、付随的な効果ではありますが、送出機関はこのような面談を行なう受け入れ事業者には一目置きます。外国人材を大事に考え、まじめに育成する送出機関の場合は、受け入れ事業者の丁寧な姿勢をポジティブに評価し、日本入国後のサポートの際にも次回の募集の際にも通常より協力的に取り組んでくれる可能性があります。
監理団体や登録支援機関にも手伝ってもらう

定期面談を行なう際には、監理団体や登録支援機関を通じて送出機関に依頼することになります。団体・機関によっては、自身でそのような定期面談を行なっているケースもまれにありますので、その場合はそこに加えてもらいます。そうでない場合、定期面談設定のリクエストに応じてくれる団体・機関を選んでください。できれば、団体・機関も一緒に面談に入る方が望ましいです。
監理団体や登録支援機関によっては、送出機関から学習状況報告書を定期的に受け取っている場合もあります。取引先の団体・機関に確認してみるとよいでしょう。
まとめ
このページのまとめ
・採用面接から入国まで技能実習なら最短で半年前後、特定技能なら4カ月前後です。この間、内定者の教育・学習をノーチェックで放置すると、効果があまり上がらず、低い日本語力や意識で来日することがあります。
・内定者と教師に1、2カ月ごとに定期面談を行い、学習の進捗や到達度、日本語会話力などをチェックすることで、励みや適度な緊張感につながります。
・定期面談は、日本語学習の苦労をねぎらったり、日本での生活・仕事に関する不安や疑問を聞いて答えたり、会社や地域の様子を写真で紹介したりする、交流の場としても使えます。相互の理解や信頼につなげましょう。
・定期面談はなるべく監理団体や登録支援機関に手伝ってもらいます。また、定期面談を行なうことで送出機関が次回募集時などにより協力的になる場合があります。